訊いてみた

 

わたしの家は保土ヶ谷の山の上にあり、
東側は崖っぷち。
手すりが施されていて危なくはないのですが、
高所恐怖の身としてはビビリます。
手すりの外の淵は
狭いところだと三十センチほど、
泥棒でも
そこを歩いて逃げろと言われたら
ビビルでしょう。
なのに、
毎日のようにやって来る野良猫
がおり、
わたしの部屋の前でかならずこちらを見、
いち、にー、さん、
それからプイっと何食わぬ顔で
崖っぷちをものともせず難なく歩いていきます。
怖くはないのか?
どうして平地を歩くように歩けるのか?
そこを歩かなくても
歩くところはあるでしょうに?
いろいろ訊いてみましたが、
答えはなく。
白と黒のぶちの猫。

 

・秋澄みてガネーシャの鼻上向きぬ  野衾