変哲さんの好きな良寛句

 

俳優で芸能研究者として名を成した小沢昭一さんは、
俳人でもあり俳号は変哲。
『俳句で綴る変哲半生記』(岩波書店)
を読んでいましたら、
俳句はもちろんたのしく
滋味にあふれてもいるわけですが、
とちゅういくつか
俳句にまつわるエッセイが録されており、
かつて一世を風靡したラジオ番組
『小沢昭一の小沢昭一的こころ』の語り口
をほうふつとさせ、
なつかしくなりました。
変哲さん、
良寛さんの俳句が好きらしく、
いくつか紹介し、
肩の凝らない文を添えています。
良寛さんの句のなかで「私の最も愛する句」
として挙げているのは、
「柿もぎのきんたまさむし秋の風」
ははぁ。
きんたまねぇ。
いまみたいにズボンじゃないだろうから、
下から風がねぇ。
なるほど。
この句を好きだという変哲さん、
この句をつくった良寛さん、
どっちも好きだなぁ。

 

・秋の香と思へば灸のにほひかな  野衾