龍角散

 

タクシーの運転手との会話。
「地球環境がおかしくなったせいで体がついていきません」
「ほんとにそうですね。
わたしは咳がなかなか止まらないんです。熱はないんですが…。
お客さんを乗せて咳き込まないよう、いつもノド飴を舐めるようにしています」
「わたしもノドの不調がながくつづいています」
「そうですか。お客さんで多いですよ。そういう方」
「やっぱり。
そうだ。鍼灸の先生に教えてもらったんですが、
龍角散を試してみたらいかがですか」
「ゴホンといえばのアレですか?」
「そうです。わたしは秋田出身ですが、
あの薬は、かつて秋田藩の佐竹の殿様が喘息持ちだったらしく、
それを治すために御典医が開発したものだそうです」
「そうですか」
「中国人の間では神のクスリと称されているのだとか…」
「へ~」
「いや、鍼灸の先生の受け売りです」
「わたしも服んでみようかな」
「試してみてください。楽になると思いますよ」
「分かりました。いいお話をありがとうございました。
帰りにさっそくクリエイトで買います」

 

・雲の名を思ひ浮かぶる初秋かな  野衾