元禄七年

 

加藤楸邨『芭蕉全句』は、
松尾芭蕉の俳句を制作年順にならべ、
それに
実作者でもある加藤がていねいに評釈を加えたもので、
短期間ではもったいなく、
少しずつ楽しく読んできましたが、
いよいよ最後の年になりました。
元禄七年。
西暦では1694年。
芭蕉先生、生まれは1644年ですから、
50歳で亡くなったことになります。
早いか遅いか。
それはともかく、
芭蕉は晩年、軽みを目指したとされており、
たしかに
シンプルで軽みのある、
それでいて口に上せてみると
味わいぶかい句が多くなっているようです。
たとえば
「梅が香にのつと日の出る山路かな」
も元禄七年の作。
『芭蕉全句』は、
はじめ四六判上製函入り上下二巻で上梓され、
その後ちくま学芸文庫に入り、上中下三分冊で刊行されました。
いまはいずれも絶版のようですが、
古本では入手可能です。

 

・耳鳴りを秋のひびきと聴いてゐる  野衾