蟬のいのち

 

このごろ外へ出ると、
蟬の死骸に出くわすことが多くなりました。
拾い上げると
ジジと体をふるわせ飛び去るものも中にはいますが、
多くはピクリとも動きません。
手のひらに載せれば、
まるで揚げ菓子のようなる軽さ。
このモノに
つい先ほどまでいのちが宿っていたなんて。

 

・揚げ菓子のごと吾の掌(て)の蟬の骸(むくろ)かな  野衾