ソファの革補修

 

2015年5月に亡くなった長田弘さんの著書に
『読書からはじまる』(NHKライブラリー)がありますが、
そのなかに
「読書のための椅子」という
印象深いエッセイが収録されています。
読書をするのに
じぶんに合った椅子の確保がいかに大事か、
そのことが
ゆったりとした
静かな文章でつづられています。
わたしにとっては
十七年前に買ったソファがそれですが、
長年使ってきたため、
膝の内側が当たるところにひび割れが生じ、
背もたれの縫合箇所の一部がほつれてきました。
すわり心地がよく、
これ以上じぶんにピッタリのソファがあるとも思えず、
かといって、
新しいものに買い替える気持ちは毛頭なく、
革を買ってきて
じぶんで継ぎはぎしようか
とも考えましたが、
インターネットで検索し、
けっきょくYSR(Yokohama Shonan Reproducion)
という会社に頼むことにしました。
代表の南條弘行さんが昨日来宅し、
ほぼ三時間かけて補修してくださいました。
南條さんは
「新品になることはありません」
とハッキリ言いました。
わたしも素人ながらそう考えますから、
南條さんに深く同意しすぐにかかってもらうことにしました。
まさに手作業、職人技で、
ていねいに補修作業が行われていきます。
横で作業を見せてもらいながら、
ああこのひとにたのんでよかったと
つくづく思いました。
補修料金は、
出張費を入れ税込み25000円。
物により状態によって値段はちがうとのこと。
それにしても安い!
なにより仕事がていねい!
おそらく、
わたしはこのソファをずっと使いつづけるでしょう。
革がいよいよダメになれば、
全面張り替えも可能とのことですから、
またきっと
YSRさんにたのむことになると思います。
革の衣類やバッグの補修も手掛ける
2008年4月創業の、
三人で仕事をこなす会社です。

 

・いずこよりいい風来(きた)る端居かな  野衾