日陰を慕いて

 

このところ猛暑酷暑の日がつづき、
なるべくなら外出を避けたいわけですが、
そうもいかず、
日陰をもとめ綱渡り的に歩くような具合です。
それなもんですから、
保土ヶ谷駅から自宅へ向かう場合も、
人通りの多い一号線沿いより、
遠回りながらも
気分的に涼しげな
川沿いを歩くことが多くなりました。
ほんの短いあいだですが、
手すりにつかまり川を泳ぐ鯉を見るだけでホッとします。
いよいよ暑さが増してきた先週末、
川べりを歩きながら、
鯉たちどうしているかなと思い
川を覗いたところ、
いつも見かけるあたりに一匹もおらず、
ここは? ここは?
と道づたいに探して歩いた。
ちょうど橋の下の陰になっているところに一匹、二匹、三匹…、
十匹以上がたむろしていました。
そうか。
おまえたちも日陰が恋しいか。
『影を慕いて』という歌がありましたが、
いまはその影でなく、
陰がとっても慕わしい。

 

・塒(ねぐら)出(い)で空を見上ぐる蜥蜴かな  野衾