立小便は負け!?

 

このごろ立小便をする人を
とんと見かけなくなりました。
むかしはごくあたりまえ、
わたしも子供のころはよくしておりました。
また、
酔っぱらいのオジサンがしていると、
ちかくまで見に行って観察し、
小便が二手に分かれ
チョロチョロ流れ地面を濡らすのを不思議に思ったものでした。
あれから半世紀。
世の中は変わりました。
それでもたまに、
ここ横浜でも
薄暗くなった夕刻、
坂の途中の電柱に隠れるようにして
用を足しているオジサンを見かけることがあります。
さて、
会社の若手社員に教えられた『VOW』
という本がありまして、
これは、
雑誌『宝島』に投稿された笑いのネタを編集し
まとめたもの。
内容は、
読者が街で見つけたヘンな看板、誤植、チラシ広告、新聞記事等々。
すでに何冊かでていますが、
その一冊
『ベストオブVOW』に、
「こゝで立小便する人は負ける」
(しかも「負ける」の文字だけ赤)
という
看板の写真が収録されており、
それが本の帯にもつかわれています。
傑作と思いましたネ。
少し理屈を言わせてもらえば、
世の中は変わっても、
いまもって日本は圧倒的に男社会、
そのことは
だれもが知っているはずで、
競争社会でしのぎを削る働き盛りの男であればなおさら、
競争を意識せぬ男はいないでしょう。
競争は、
勝つことに意義がありますから、
最初から負けと分かる競争などしたくない…。
そういう社会的状況と
心理的ストレスを
踏まえ、
「こゝで立小便する人は負ける」
これがわが家の近くの坂道にあったら、
まず
立小便をする人はいないだろうと思われます。
だって、
「こゝで立小便する人は負ける」

 

・明月院海に焦がるる四葩かな  野衾