事実と言葉

 

昨日の党首討論をテレビで知り、
はやらない現代劇を見せられているような
不思議な感慨を覚えました。
野党の四人の発言は、
どれも
言葉によって
その背景にある事実に迫ろうとしている。
その意味で、
極めてオーソドックスな言葉の使い方であると感じます。
言葉の「こと」が
事実の事「こと」と通底しているとすれば、
当然のことともいえましょう。
一方の安倍総理。
事実と裏腹の関係にあるはずの言葉を、
事実から切り離し
無化させ、
肉体を持たぬ言葉を
これでもかというぐらい
極限まで推し進め、
空中に四散させ
躍らせる。
「音楽というのは一度奏でられると、空気の中に消えてゆき、
二度と取り戻すことはできない」
と言ったのは、
ジャズのエリック・ドルフィー。
安倍総理の言葉も、
つねに空気の中に消えていくようです。

 

・脱ぎ捨てて乳房晴れ晴れ夏来る  野衾