清新の気

 

たとえば
懐奘が書いた『正法眼蔵随聞記』、
永島忠重が書いた『奥邃先生の面影と談話及遺訓』、
代田文誌が書いた『鍼灸眞髄』
などを読むと、
師の天才ぶりを
弟子が尊敬のこころをもって記し
余すところがないと感じる。
師とは、
道元であり新井奥邃であり澤田健だ。
人生の極意は
文字や言葉では伝えられない
と考えているらしいのも天才の天才たる所以か。
そうしてみると、
新約聖書も
弟子が書いたイエス・キリストの
言行録であり、
読んでいて感じる清新の気は、
上記の本と共通している。
ただ、
天才といえども人間で、
イエス・キリストを天才とよぶのはすこし憚られるけれども。
もっと大きな世界がある、
と感じさせてくれる
ところもまた共通している。

 

・夢の中欠くるもの無し夏野かな  野衾