若々しい日

 

家人にさそわれ三渓園鶴翔閣へ。
「日本の夏じたく」というテーマで、
いろいろな作家が、
紙、木、布、ガラスを用いた作品を展示即売していました。
四十年ほど前に初めて訪れて以来
たびたび足を運んでいる三渓園ですが、
鶴翔閣へ入るのは初めて。
天候にも恵まれ、
窓から初夏の陽光がふりそそぎ、
ゆらゆら揺れています。
和服姿の方が多く目につきました。
電車とバスを乗り継いでの散歩コース、
約一万歩。

 

・新緑と潮の香すなり三渓園  野衾

 

756円

 

会社のわたしの机の前に
カラの段ボール箱を用意してあり、
読み返す可能性のある本を除き、
家で読み終わった本をそこに入れるようにしています。
段ボールがいっぱいになると、
秋田の実家に送るのですが、
すでに十数回を数えているはずなのに、
その都度
経理の武家屋敷に
料金を確認する羽目に。
756円。
おぼえやすい数字だと思って、
そのときは
忘れないだろうと高をくくっているのですが、
時間がたつと、
やっぱり忘れています。
756円。
700円プラス消費税分56円、
で、
756円。
そうか。
そう覚えればいいのか。
これだけ自分に言い聞かせるように書いておけば、
次回は忘れないか。

 

・歯ブラシを替えて二日目五月かな  野衾

 

田植え

 

父は四十年以上日記をつけており、
農作業についても、
なんの作業をいつ行ったか、
事あるごとに確認しています。
いよいよ田植えシーズンですが、
例年今月二十日ぐらいがその時期にあたっています。
地区では、
だいたい父が先頭を切り、
父のおこないを見て、
「進(父の名)が始めたから、そろそろウチも始めるか」
というような家もあるようです。

 

・代掻きにいよよ精出す父と叔父  野衾

 

PTSD

 

記憶をモチーフにした小説といえばプルーストですが、
宝のような記憶もあれば、
深い傷になって
ながくこころを苦しめる記憶もあるようです。
ベッセル・ヴァン・デア・コーク著、
柴田裕之訳
『身体はトラウマを記録する』には
「脳・心・体のつながりと回復のための手法」のサブタイトル
が付されており、
帯には、
「私たちは何よりもまず、
患者が現在をしっかりと思う存分生きるのを
助けなくてはならない」
とあります。
推薦文を寄せているジュディス・ハーマンは
『心的外傷と回復』の著者ですが、
その本の日本における訳者は中井久夫さん。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)
さらに記憶について、
もうすこし知りたいと思います。

 

・ビロードを丸める如く青梅の実  野衾

 

人物再登場

 

バルザックの小説には、
ある小説で少しだけ登場する人物が、
彼の別の小説では
主要な人物として動き回るということがあります。
なので、
バルザックの小説は、
一冊独立したものとして読んでも
もちろんおもしろいけれど、
つぎつぎ読み進めると、
当時のフランス社会の人間群像が浮かび上がってくるようで、
小説読み、バルザック読みには
堪えられない面白さがあります。
さて、
いまわたしが読んでいる原稿に、
フェリックス・ド・ヴァンドネスなる人物が登場します。
このフェリックス、
バルザックの最高傑作とされている『谷間の百合』で、
モルソーフ伯夫人アンリエットに恋をし
愛を告白する青年です。
それから二十年後、
フェリックスは、
ある女性と結婚し、
すっかり中年になっています。
フェリックスは『谷間の百合』以外にも登場しますが、
とくに『谷間の百合』を読んだ者には
つよく印象付けられていますから、
その後のフェリックスがどうなったか、
それが描かれている小説ということになれば、
面白くないわけがありません。
タイトルは『イヴの娘』
戦前、一度翻訳が出たようですが、
今回はその新訳になります。
訳者は、
『バルザック王国の裏庭から――『リュジェリーの秘密』と他の作品集』
の翻訳を弊社から上梓した宇多直久さん。

 

・二羽の鳥電線の春たわみけり  野衾

 

ケツカッチン

 

YouTubeで、登美丘高校ダンス部の踊りを繰り返し見ていました。
若さがはち切れんばかりで、
すこしだけこわばりがゆるむ気がし。
ダンスの途中、
平野ノラのバブル用語がいくつか挿入されている
その中に
「ケツカッチンなんでお先にドロンさせていただきます」
というせりふが出てきます。
ケツカッチンてなんだ?
と疑問が湧きました。
お尻がカチカチに硬くなるほど疲れたから、
というような意味かと
勝手に想像しながら、
すぐに調べることをせずにいて、
けさ、
ネットで調べたら、
「後の予定が入っていて変更できない」
という意味であることを知りました。
ケツカッチンの意味を尻、
もとい、
知り、
すこしうれしくなり、
飯島耕一さんの「ゴヤのファースト・ネームは」
を思い出しました。
「何にも興味をもたなかったきみが/ある日/
ゴヤのファースト・ネームが知りたくて/隣の部屋まで駈けていた。」

 

・春が行く電車待つ間のスニーカー  野衾

 

営業再開

 

ゴールデン・ウィークを
いかがお過ごしになりましたか。
弊社は、本日より営業再開。
あたらしい春風新聞が届く予定です。

 

・ランドセル置かず見上ぐる燕かな  野衾

 

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