世間は

 

・曼殊沙華こころ休めと風立ちぬ

 

わたしが日々感じていることのなかに、
「世界は広く世間は狭い」
がありますが、
今度は、
少し前まで集中的に読んでいた
小西甚一を研究する論考が届きました。
大著『日本文藝史』にいたる若き日の小西に焦点を当てるもので、
ササっと読むつもりが、
つい夢中になって読んでしまいました。
まことに、
世界は広く世間は狭い!
いちばんは、
なんといっても、
キーコーヒーのつけまの娘。

 

・山ぼくぼく六国峠霧深し  野衾

 

眼鏡ストラップ

 

・商店街白髪吹かるる秋の風

 

近くの細かい文字は裸眼で見るので、
どうしてもメガネを外すことになります。
机上に置いたり、
頭上に置いたり、
しているうちに、
そのことを忘れカタンと落としたり。
ということで、
メガネストラップを買いました。
メガネを外したとき首にぶら下げておくヒモですね。
これで落とす心配はなし!
なのですが、
慣れぬせいか、
ヒモが顔の横にあたって
なんぼか気になります。
少し慣れるまでのがまん。

 

・秋晴れや老婆の頬に紅の点す  野衾

 

頭に忘れる

 

・留まるな先へ先へと鰯雲

 

老眼が入ってきたせいか、
近くを見るのに
このごろは、
眼鏡を外すことが多くなりました。
デスクワークをしているときは、
だいたい机上に置きますが、
電車内で文庫本を読むときなど、
外した眼鏡を頭の上に置くことが多い。
たまに忘れ、
アレ!? 眼鏡は? メガネメガネ?
カタンと落ちて
やっと気づくことも。
それにしても、
廊下が、
いや老化がはやくねーか?
廊下を走ってはいけません。
老化を急いではいけません。
急ぐなよ急ぐなよ。

 

・風遣りてやがて身を上ぐ薄かな  野衾

 

 

・秋雨と山の霊気をくぐり行く

 

子どものころから物をよく忘れました。
なかでも傘はその筆頭。
二桁ではきかないでしょう。
そのたびに自己嫌悪に陥り、
おれはダメな奴ダメな奴ダメな奴。
このごろ傘を
忘れなくなりました。
折り畳み傘を
いつもカバンに入れ
持ち歩くようになったからかも知れません。
なので今度は、
おれはいい奴いい奴。
つけまつげの娘と
きのうも坂ですれ違いました。
夢のような。

 

・秋風に毛づくろいする烏かな  野衾

 

六国峠吟行

 

・武士(もののふ)の行き交う道や秋閑か

 

月に一度、
鎌倉の大佛茶廊にて
「さろう句会」を行っていますが、
涼しい季節になりましたから、
先週土曜日、
金沢文庫から能見台をへて金沢自然公園まで歩きました。
当日はあいにくの雨。
それでも参加者七名。
傘を差しながら、
足下の悪い山道を一時間半ほど。
自然公園に到着するころには、
空も心なしか明るくなり。
公園内には立派な建物があり、
無料休憩所での昼食後、
一時間かけての句作。
各自二句投句、
A4判の用紙に
投句された十四句を清書した後、
13時46分発のバスに乗り金沢文庫駅まで。
一時間半かけて歩いたのに、
コースが違うとはいえ、
十五分ほどで駅に着く。
駅周辺の瀟洒なカフェにて
句会とあいなりました。
きょうの肉、
いや二句はその時のものです。
写真は、
メンバーのひとり和いんさんが
撮ってくれたもの。

 

・雨浴びて光住みたる秋の草  野衾

 

興味深い?

 

・秋晴れやさてと何して遊ぼうか

 

武家屋敷が電話をしておりました。
いきなり
「武家屋敷が電話をしておりました」
といっても、
このごろこの日記に登場していませんから、
なんのこっちゃ
と思われる方もあるでしょう。
武家屋敷とは、
わが社の山岸でありまして、
武家屋敷は、
わたしが彼女につけたニックネーム。
そのこころまで話していると
長くなりますから、
それについてはまた今度。
前置きが長くなりました。
さて、
武家屋敷が電話をしておりました。
武家屋敷らしく、
しっとりとおとなしく、
しかし毅然たる態度で受け答え、
内容までは分かりませんでしたが、
新しい仕事について、
方向が決まったようなのでした。
おもむろに自分の席を立ち上がった専務イシバシ、
すーっと武家屋敷の元へ。
「いま興味深い話が聞こえてきたけど…」
わたしのすぐ横で発せられたことばでしたから、
間髪入れずに大笑い。
「興味深い話って…。アハハハハ。評論家じゃなんだから」
イシバシ本人も、
すぐ自分の発したことばの可笑しさに気づいたらしく、
アハハハハ…。
理由を尋ねたところ、
「興味深い」をちょっと
使ってみようと思ったのだとか。

 

・校正を終えて目を上ぐ秋の夕  野衾

 

出川ファン

 

・秋暑し急ぎ厚手の衣脱ぐ

 

正直に申し上げます。
わたしは出川哲朗があまり好きではありませんでした。
というか、
どちらかといえば、
嫌いなタレントの部類に入っていた
と思います。
口ではたいそうなことを
言うけれど、
実際やってみるとまったくダメ。
なんだよ、
と。
いつからでしょうか。
出川さん(ここから「さん」付け)
がテレビに出ていると、
なんとなく終りまで見てしまい、
このひと、
性格いいんだろうなぁ、
ひとにやさしく、
やわらかく気づかいするなぁ、
で、
ほのぼのした気分になっている自分に気づくのでした。
まるで『男はつらいよ』の
寅さんのやさしさに触れたよう。
出川さんが変わったとは
思えませんから、
こちらの見方が変わったのでしょう。
いまは、
『ブラタモリ』より
『モヤモヤさまぁ~ず2』より
『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』
がいちばんおもしろく、
心待ちしている状態です。

 

・天高し烏の声の響きけり  野衾

 

2 / 3123