・アンテナに端然秋の烏かな
かつての村を訪ねたとき
ニワトリのようで ニワトリでない
ダチョウのようで ダチョウでない
カイチョウ 怪鳥
そう 怪鳥
ゆっさゆっさ現れ
伸びあがって ぶるぶる
体をふるわせ
たかと思い
き
や
どすん
で
また どすん
雪だるまほどもある
皮袋に入った糞をふたつ
ひった
そばにいた飼い主
老婆が 転がる糞に 足取られ
転がった
近所の百姓がそれを見て
ああ
ピピがうれしくて糞ひった
ピピがうれしくて糞ひった
転がった老婆もうれし
くて笑っ
た
・動くものみな停まつて見ゆる秋の海 野衾