・片蔭に入るも頭は突き出たり

 

右肩にカバン、
右手に打ち合わせのためのゲラと本二冊、
左手にスーパーで買った果物、
体を引きずるように歩いていると、
酒屋の主人がわたしを見、
さっと右手を斜め上方に伸ばしました。
なにかと見れば、
虹。
ああ。
虹ですか…
さっきはもっと濃かったんだけどね。
暑いですねえ。
暑いねえ。
どうもどうも。
どうも。

 

・屋にいて外の世界の涼しかり  野衾