老人一年生

 

・赤さびの手すりを登る揚羽かな

 

もうすぐ還暦を迎えますから、
老人です。
自分を老人と思うことが、
いまのところ新鮮で、なんとなくウキウキ。
こころにランドセルの
老人一年生。
ワクワクしながら昼の野毛へ。
肉料理の店が新しくできていたので、
恐る恐る入り。
若者がハチの巣にたかるハチのごとくに居る店は、
避けなければいけません。
が、
そんな感じでもなく。
窓側の静かな席に案内され、
わたしカツ定食、
イシバシ親子丼。
けっこうな量。
にしては、
安い。
ひとくちひとくち、
ゆっくり何度も何度も噛んで、
これで大丈夫!
となってからようやく嚥下。
我ら老人一年生。
カツ定食を半分ほど食べたころ、
にわかにカツの脂が気になりだしました。
一年生であることを自覚し、
ここですっぱりと諦め
終了。
値段が少々高くても
脂身を減らしてほしかった。

 

・片蔭に生き物のみな集まれり  野衾