さびさび

 

・落ち葉して半分坊主の銀杏かな

さすがに寒くなりました。
わたしの故郷秋田では、
寒いことを「さび」と言います。
「さむい」と言ってもあまり寒い感じがしませんが、
「さび」と言った途端、
背筋までゾクゾクッとするから不思議。
ところで、
このところ私ホッカイロを手放せません。
今は貼るタイプのものあり、
貼らずにポケットに入れるものあり、
サイズも色々ですから
重宝しています。
会社はもちろん暖房が入っているのですが、
わたしの場所は窓際で、
しかも大きな窓ですから、
冷えるとなると、
しんしんと冷えてきまして、
そういうときは、
机の引き出しにある
ホッカイロ貼らないタイプのもの
をズボンのポケットに入れ
暖をとります。
それはともかく、
年末に帰る秋田は寒いんだろうなぁ。
う~、さびさび!

・校庭に子らひとりなし小春かな  野衾

音立てて

 

・柿齧りガリリと硬き柿の種

一時間は一時間、
一日は一日、
同じ一時間、一日なのに、
十二月に入った
と思いきや、
スイッチが切り替わるみたいに、
くるりくるりと日は進み。

○音立てて日めくり勝手に剥がれゆく

みたいな。
気持ちの持ちようなんでしょうが、
不思議。
きょうはアレとコレを忘れずにしよう!
と、
こころに念じて出かけないと、
アッという間の午後四時
でありまして。
いやはや。
きょうはアレとアレを。

・黄落や野外舞台のごとく在り  野衾

とろろ汁

 

・一日の疲れ一日とろろ汁

ある方から自然薯をいただきましたので、
家に帰ってさっそくとろろ汁を。
まず、
煮干し、昆布、牛蒡でダシをとり、
味噌を入れ
少し濃いめの味噌汁を作ります。
それから、
適当なところで折り、
水洗いした自然薯をすり鉢で
ひたすらすり下ろします。
すぐに粘ついてきてなかなか捗りません。
すり終えたら、
冷ましたみそ汁の上澄みの方から、
汁を濁さぬように気を付け、
すり鉢の縁に垂らして流し入れ丁寧に混ぜ合わせます。
混ぜた汁をお玉で掬い、
たまった汁に落とし
トポ~~~ンと、
いい感じの音がしたら出来上がり!
食べたいものがあることは
ありがたく、
それを頂けるというのは、
代えがたくしあわせ。

・刻み葱と梅干し外せぬとろろ汁  野衾

気晴らし

 

・雨上がり冬日居座る水たまり

気分がすぐれないので、
散髪しに床屋へ向かいました。
電気バリカンで頭蓋を総ざらいし、
あとは、
もみあげのところを
剃刀でちょこちょこっとやるだけですから、
二十分弱で終り。
1200円也。
さて、
食欲はないけれど、
何か食べたいものでもあるかと
駅前のスーパーへ。
完熟パイナップルのカットが美味しそう
だったので籠に入れ。
きょろきょろしながら今度は魚のコーナーへ。
鰈の新しいのを
店員が運んできましたから、
さっそく一パック購入。
煮魚には薬味の生姜を忘れずに。
ネットショッピングは便利ではありますが、
こういう楽しさはまた格別。
ドラッグストアにも寄ってみるか。
何か必要なものを
思い出すかもしれません。

・野ざらしや川のうへ行く寒烏  野衾

酒を止めたら

 

・黄葉(もみぢ)して白帽の子ら空の下

痛風発作をきっかけに
しばらくアルコール類を控えていましたら、
肉や魚など、
いわゆる酒の肴が
あまり欲しくなくなり、
牛乳、豆乳、果物類が美味しく感じられるようになりました。
桜木町駅では遠藤の青汁だし。
いたって植物系男子。
いや、
植物系中高年。
痛風発作の激痛に恐れをなした
ということもありますが、
それにしても、
これだけ止めていられるのですから、
もともと
そんなに酒が好きなわけではなかった
のかもしれません。
そんなに我慢しているわけでもないので。
なんて。

・高速道空より来たる枯葉かな  野衾

きょうより十二月

 

・柿紅葉絵筆取りたき日を過ごし

俳句をやっていると、
いろいろ効用がありまして。
歩くスピードが
前より遅くなりました。
きょろきょろ周りを見て歩くからです。
しばし立ち止まったりもします。
さて、
きょうから十二月。
師走。
むかしの人はうまいこと言います。
ふつうのひとが走るんじゃ
さほど面白くない。
ふだんは憮然、泰然、堂々としている先生まで
尻っぱしょりして走る
ってんですから、
面白いじゃありませんか。
目に浮かびます。
こないだ年賀状を書いたと思ったら、
もう目の前。
師も走るけど我も走る、
我走てか。

・牛乳を沸かして飲みたき冬の朝  野衾