平野レミ

 

・むっつりと強く頼もしカブトムシ

休日テレビを点けたら、
料理研究家の平野レミさんがでてました。
横になってぽけーと見ていましたら、
平野レミさんに質問のある方いますか、
と、
進行役のキャスターが
客席に向かって問いかけました。
ある女性まっすぐ手を挙げ、
「魚をさばくときに眼がこちらを見ているようで上手くさばけないのですが、
なにかいい知恵はないでしょうか?」
平野レミさん間髪入れずに、
「眼をくりぬけばいいじゃない。こうしてこうして。
死んじゃってるんだから」
キャラ全開、場内爆笑。
わたしも爆笑。
目が覚めた。
さすが平野レミ!

・草いきれ嗅いでふるさと胸に入る  野衾

長岡の花火

 

・日一日削れていった夏休み

テレビで新潟県長岡の花火大会を見ました。
いくつかの大会を
実際にも
テレビでも見てきましたが、
長岡のは今回が初めて。
うわさには聞いていたものの、
これほどとは!
完成度とクオリティーの高さに呆然、
目を見張りました。
ここの花火には、
花火師をはじめとして運営する方々はもちろん、
地元の皆さんの
深い思想が込められているようです。
わけも分からず、
目頭が熱くなりました。
実況は徳光さん。
興奮を隠さずに、
これを実際に見たら、
人生観が変わる人がいるかもしれない、
それほどにすばらしい
と語っていたのが印象的でした。

・パッと咲きどどんと来たる花火かな  野衾

買って半分

 

・絵日記は最後の最後夏休み

本は一生分買ってしまったので、
もう買うまい、
と思ったのもつかの間、
やっぱり
どんどん買ってます。
その勢いたるやとどまるところを知らず。
それでこのごろつらつら思うに、
本は、
興味関心をもって買った時点で、
もはや半分は読んだようなものではないかと。
それから棚に並べて二割。
そして、
手に取って実際に読んだら残り三割を消化する。
百パーセントでなくたって、
半分消化すればもう十分ではないか!
ま、強がり、
本を買うことの言い訳に過ぎませんけれども…。
強がりついでに、
と言ってはなんですが、
日々背文字を眺めているうちに読んだ気になる本もあり。
これ眺読。
勘を働かせて読むのは勘読。
理解よりも
理解を超えて目で舐めるように読むのは、
黙読ならぬ目読。
ページに手のひらをかざして読むのは掌読。
速読ができないわたしは、
体験的に、
いろいろな読みを工夫してまいりました。
本を読もう。
もっともっと本を読もう。
眺読勘読目読掌読。
速い速い!
超超速読ひ~らひら。

・夏休み部活へ急ぐりなぴかな  野衾

蟬君

 

・雨上がり葉裏さやけし蟬しぐれ

八月に入りいよいよ暑くなってきました。
が、
そんなに長くは続かないでしょう。
そのうち秋は忍び込み。
蟬君たちは、
最大音量で鳴いているものの、
一歩外へ出れば、
あちこちでころんと死骸が落ちています。
傷んでいない死骸を拾い上げると、
死骸かと思いきや、
ぎぎ、ぎぎと鳴くから、
ちょっとうれしくなり、
緑のほうへ放ってやると勢いよく飛んでいくのもいます。
きのうは体半分になった蟬君の死骸を、
葬儀係よろしく蟻たちが
せっせせっと片付けていました。
いのちの片付け。
いのちが形を成して怒ったり、泣いたり、
解けたり、
愛し合ったりもして、
最後片づけてもらいます。

・夕涼や米白くなり研ぐほどに  野衾

注意信号

 

・子をおもひ孫おもひして軒風鈴

一昨年でしょうか、
痛風発作に襲われまして、
初めてのことでもあり、
いで、いでいで、いでででででーー!!
と、
わめき散らしていたわけですが、
以来、
痛みを通して学習し、
ん!?
なんだこの感じ、
あのときの痛みと、
(正確には痛みへ至る)傾向
が似ていると感じるや、
極力ビールと烏賊を控えるようになりました。
三日もアルコールを止め
ひたすら水を飲めば、
スッと痛みが退いていくから
不思議。
ということで、
今回も大ごとにならずに済みました。

・ビアガーデン後ろめたさの日が暮れぬ  野衾

工事現場よりも

 

・耳元も足元からも蟬の声

八月に入りました。
蟬が盛んに鳴いています。
大きな木の下に入ろうものなら、
密閉された
見えない半球のドームに閉じ込められ、
そこで蟬の声を
聞かされているような。
ワーワージージーギャーギャーミンミンミンと、
悲鳴嬌声歓声阿鼻叫喚の嵐。
ながく居たら
鼓膜が破れそう。
近づいて一匹だと鳴き止む蟬も、
大勢だとどこ吹く風、
屁の河童、
鳴き止むどころか、
ますます、
ワーワージージーギャーギャー
ミンミンミンミンミンで。
閑さどころの騒ぎではありません。

・我が来てワッと飛び立つ雀かな  野衾