むま

 

・雲を遣りでんと居座る残暑かな

馬は「うま」ですが、
昔は「むま」でした。
万葉集にもでてきますから、
1200年以上まえ。
ところが秋田では、
県全域ではないかもしれませんが、
今でも馬のことを「むま」といいます。
父も母も「うま」とは言いません。
「むま」
正確には「んま」
逆に、
むかしむかしも「むま」と書いて
発音としては「んま」
と言っていたのではないかという気もします。
腕を組んで「んー」と唸る声を
「むむ」
と表現するように。

・葬儀場ひっそり閑の残暑かな  野衾

ルーマニア民俗写真展

 

・雨降ってぬぐい切れずの残暑かな

写真家みやこうせいさんの
「ルーマニア民俗写真展 もうひとつのヨーロッパ」
を見に横浜市民ギャラリーへ。
伊勢山皇大神宮の裏手、
春風社からは
ゆっくり歩いて五分ほど。
ルーマニアの人びと、暮らし、伝統、風景をつたえる写真70点。
ほれぼれ見入りました。
160回ほど
ルーマニアを訪れているといいますから、
みやさん、
ルーマニアにすっかり魅せられてしまったのでしょう。
写真を通じてそれが分かる気がするし、
それを分からせてくれる写真です。
お近くの方、
いや、
遠くの方もぜひ訪ねて見てください。
すばらしい写真です。
21日(日)まで。
見終わって帰ろうとしていたら、
みやさん現れしばし歓談。
なんとも若い。
若すぎる!
ルーマニアから元気をもらっているのでしょう。
また近々行くのだとか。

・雨落とし雲切れ秋や降り来たる  野衾

汗どっと

 

・流れずにふくらんで行く夏の雲

お盆が過ぎるとさすがに秋めいてまいります。
朝はまだ暑くなく、
会社までのいつものコースも
気持ちよく。
清々しく。
青春!
てか。
桜木町駅川村屋の「遠藤の青汁」は、
まだやってません。
いいのいいの。
しばらくコンビニで野菜ジュース買うから。
地下道を歩き、
美術館、
にぎわい座、
能楽堂のポスターなんかを冷やかし、
それから前を見て
ゆっくり歩き、
やがて上りエスカレーターへ。
爽やかはつづいていました。
と。
光の量が増し
地上へあと一歩のところで、
饐えた汗の臭いが濁流のごとく押し寄せてきたから堪らない。
くっせー!!!!!
鼻曲がる。
くっせー!!!!!
てめー、
くっせー!!!!!
爽やかな朝だったのに、
くくくっせー!!!!!
どうしてくれるんだ。
にしても、
くっせーよ!!!!!
Tシャツぐらい洗濯しろよ。
自分で臭くないのか。
それで仕事に行くのかよ。
ったくよー。
爽やかな朝は
こうして終りを告げたのでした。

・蜩のゼンマイの巻き緩みけり  野衾

川べり

 

・夏川をかみへかみへとアブラハヤ

秋田県南秋田郡井川町。
高校生のときに村から町になりました。
地名になっているように、
井川という名の
小さな川が流れています。
一月、五月、八月と帰省しますが、
歩けばどこかで川にぶつかり、
季節季節の川の風情を楽しむことができます。
墓参りと盆踊りがあった翌十四日、
ぷらぷら坂を下り
井内部落へ。
橋を渡って神社へ参拝。
戻って川べりを歩いているときらり光るものが走ります。
アブラハヤ。
ずいぶん太く多きなのもいて。
速い速い。
光の具合か、
一瞬父のこと母のこと、
十一月で59になる自分の齢も吹っ飛ぶ。
すぐに58のわれ。
陽子先生死んじゃった。

・夏川に少年の吾立ち居たり  野衾

似てないこともない

 

・なつ静かふるさとのこゑ黙のこゑ

短い夏休みをふるさと秋田にて。
オリンピックと高校野球の観戦がほとんどでしたが。
男子卓球三位決定戦。
波田陽区によく似た水谷隼の試合を
家族そろって見ていた折、
いきなり父が
カブトムシ?
母になにやら微笑んでいます。
しばらくするとまた
カブトムシ?
しばらくするとまたまた
カブトムシ?
しつこいぐらいに。
何を言っているのかと思いきや、
ほどなく疑問解消。
波田陽区によく似た水谷隼の対戦相手、
ベラルーシの
ブラディミル・サムソノフのサムソノフが
父にはどうやらカブトムシに聞こえるようなのです。
サムソノフ→カブトムシ
似てないこともない。
ちなみにテニスの錦織が登場すると、
父はニッコリと呼びます。

弊社は、本日より営業いたします。

・ふるさとの景を横切る夏雀  野衾

ころり蟬

 

・することの無い贅沢を夏休み

何重唱ともなって襲い掛かってくる蟬の声でしたが、
耳を押さえたくなるほどの
大音量だったのに、
このごろは、
薄く穴ぼこだらけの
哀れな合唱となり、
枯れた味わいさえ醸しだしています。
会社への行き帰り、
道のあちこちに死骸が転がっていて、
働き蟻たちが
せっせと片づけていたり。
きれいな死骸で
蟻一匹もいないのは、
ほんの数分前にこと切れたのかもしれません。
拾い上げればすかすかで、
この軽さの中の
どこにいのちが宿っていたかと驚きます。
カナカナが
いい声で鳴き始めました。

弊社は、
明日(木)から15日(月)まで夏季休業とさせていただきます。
よろしくお願いいたします。

・野の力満々たるや甲虫  野衾

ひと口目

 

・網破り逃げたカブトがそこに居り

夏休み前に仕上げておきたいことがあり、
昼休みを短めに取りなどし、
ひたすらこつこつとかかった結果、
きのうなんとか、
予定していたゴールに
辿りつくことができました。
こんな日にはなんといってもビールです。
赤魚の干物を肴に
キンキンに冷えたビールをグラスに注いで
ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ。
ほー、
こでらえねー!!
(「なんとも言い表せないぐらい美味い!」の意の秋田方言)
苦いはずのビールが、
ひと口目はまるで甘~いジュース。
こでらえねなー。
んだんだ、
こでらえねもの。

・宿題をそろそろやるか夏休み  野衾