今が融けだす

 

・楽しくてひとりぽっちの夏が来る

道元は西暦1200年生まれですから、
いまから816年前、
計算しやすい。
朝、
道元の『正法眼蔵』を読んでいると、
たとえば行持、修行について言っている箇所など、
新井奥邃を初めて読んだときの
清々しさとでもいうのか、
清新の気に触れるような具合で、
ありがたく感じます。
96歳で亡くなった哲学者の森信三が、
『奥邃廣録』を
『正法眼蔵』のようなものか
と、
たしかどこかで触れていたはずと記憶しており、
いつか読もうと思っていたのが、
やっと実現した形。
本を読もう、
もっと本を読もうというとき、
本に封じ込められている今が、
何百年、
千年の時を超え、
ページを繰るほどに融けだしてき、
現在の今と過去の今が同期することは、
替えがたく
うれしく楽しくありがたい。

・梅雨明けて精いっぱいの雲がゆく  野衾