蚊と木魚

 

・はらぺことたらふくせわし蟬の腹

漱石の句に、

・叩かれて昼の蚊を吐く木魚かな

があり、

大田南畝の句に、

・叩かれて蚊を吐く昼の木魚かな

があります。

大田南畝の南畝は号で、
蜀山人も号。
たしか教科書で習ったような。
江戸時代の文人で、
漱石よりも前の時代のひとですから、
漱石は、
南畝の句を知っていて、
単語の並びをちょっと替えてみた
ぐらいのところでしょうか。
いまなら盗作と騒がれるでしょうね。
それはともかく。
どっちの句がいいかということになると、
わたしの好き嫌いのハカリは
南畝のほうへすこし
傾くかなぁ。
まぁ漱石のも悪くはないのですが…。
これは実地検分し
句の味を実証的に確かめるのが一番かと。
そこで、

・蚊を入れて叩いてみたき木魚かな  野衾