電子辞書様々

 

・報外れ空見上げたり梅雨晴間

最初は日に三度、
ご飯の回数ぐらいの使用頻度でしたが、
この頃は十度、二十度、
多い日も安心
三十度。
幸田露伴のものを読んでいると、
読めない漢字がつぎつぎでてきてイラッとします。
それを、
ふつうの漢和辞典で調べるとなったら
さあタイヘン!
読めないってことは、
部首索引か総画索引で調べるしかありませんが、
総画索引は最後の最後、
時間がかかりすぎます。
部首索引にしたって
数秒でというわけにはいきません。
そこで登場するのが電子辞書。
ディスプレイ上の四角い枠の中に
読めない漢字を
手で書いて直接入力。
書くための耳かきみたいな細い棒状のもの
(タッチスティックとでもいうのかな?
説明書どっかいったからわかりません)も付属していますが、
そんなのとてもじゃないが
まだるっこくてやってられない。
なので、
指の爪でひょろひょろと。
楷書でなく落書き風でも、
結構ちゃんと認識してくれます。
にしても、
明治の文豪恐るべし!

・兄は黒弟青の傘で行く  野衾

スマホ写真

 

・校正を終へてやれやれ梅雨湿り

このブログに掲載している写真の多くは、
わたしが自分のスマホで撮ったもの。
いくつかは、
友達が送ってくれたもの。
前はガラケーで撮っていました。
スマホにしてからよくなったのは、
シャッターボタンをさなくてもいいこと。
れるだけで
シャッターが切れます。
むかしフェザータッチという言葉がありましたが、
まさにアレ。
いつの間にか聞かなくなった
フェザータッチ。
それと、
触れるとすぐ切れるのもよろし。
使い始めのころ、
ピピッピピッ、
っと鳴って、
いちいちうるさいなあ
とぶつぶつこぼしていましたが、
四角い枠のところに
ピントを合わせますよーとの合図でした。
そうと知ってからは、
それはそれで役に立ち、
重宝しています。

・夕焼けに吸い込まれゆく梅雨晴間  野衾

昭和の裸、裸の昭和

 

・弟と背中寂しも走り梅雨

ホームページのヘッダーが夏バージョンに替わりました。
キーボードの上の段F5を押すたびに
くるくる変わりますから、
どうぞ楽しんでみてください。
今の夏ではなく、
昭和の夏の風景、暮らしぶりです。
着るもの、履物、髪型、顔の表情、祭り、海、海鞘、
子供たちの裸まで
昭和の風情をたたえています。
明治、大正は言うに及ばず、
知っているただひとつ
の昭和は
どんどんとおく霞んでいきますが、
その分、
くっきりはっきり
してくることもあるような。

・荒梅雨や目落とし眺む日もありき  野衾

学会売上

 

・梅雨湿りこころも湿り歩きけり

先週今週と学会がつづき、
営業のイシバシをはじめ数名がでて本の販売をしたところ、
例年になく売り上げ好調につき、
社員一同大喜び。
どの学会とも
とくべつな付き合いをしていませんから、
まこと喜ばしきことで、
少しずつ認知されてきたのかもしれません。
少しずつがウチらしい。
インターネットでの売り上げも
順調に推移していまして、
だからこそ
いい気にならず、
目の前の文章と向き合い、
満足のゆく本を作りたいと思います。
時間に追われていてはろくなことがありません。
インドのタラブックスみたいに
締め切りがない
というわけにもいきませんが、
あこがれはあります。

・走り梅雨寺にクルスの奥邃忌  野衾

句柄

 

・五月雨や往きも復りも傘の音

ひとがらということばはありますが、
くがら。
そんなことば、
あるかないか。
芭蕉七部集を読んでいると、
連句をベースにして発句から
俳句が独立していく過程に立ち会っているような、
そんな興奮をおぼえますが、
それはそれとして、
芭蕉をはじめ弟子たちの
長句、短句、俳句がいくつも取り上げられており、
だんだんと、
それぞれの詠みぐせみたいなものが
みえてくるようで、
会ったことのない昔の人が
そこにいるような錯覚におちいります。
山本荷兮(やまもとかけい)は、
名古屋のひとで
医者でもあったそうですが、
詠いっぷりがドラマチックというか、
おおきいというか、
ときに大げさというか。
それと、
少々せっかちだったか。
いろんな想像がめぐります。

・苦味ありそれもまた佳し鮎の腹  野衾

初夏の風

 

・子ら伸び伸びと来年着れず更衣

いい季節になりました。
みどり萌えいで
風が吹き、
思わないでも鼻穴ひろげ深く息をしています。
からだは
少しずつガタがき、
あたまも
そうとう古びてきたことを
日々自覚する今日この頃、
こんな日はありがたいなあ、
気持ちいいなあ、
と、
きのうの朝思いました保土谷交差点。
賢治な気分でツィプレッセン。

・身に更へてさて来年は更衣  野衾

こんな日は三波春夫

 

・坂上より佳きひと来り更衣

セコい東京都知事のニュースが、
呆れから笑いへ転化したきょうこのごろ、
みなさまいかがお過ごしでしょうか。
えーーっ、
またーー!!
というような反応は
はや通り越し、
今はただ苦笑あるのみ。
この変化をみずからに顧み、
日々の校正の仕事もそうであるなあと。
むかしは
ぶつぶつ不平を漏らしながら朱を入れたものでしたが、
いつのころからか、
そんな声も聞かれなくなり、
黙々とこころの内に怒りを発しつつ、
おもては坦々と
お蚕さんが桑の葉を食むようにページをこなすようになりました。
成長したのか、
老化したのか、
きっと老化したのでしょう。
疲れはますますひどくなり、
こないだ左の膝株をしこたま机の角にぶつけ、
危うく皿を割るところでした。
やれやれ。
あー痛かった!
それほどに、
文章のねじれを直すのは疲れます。
こんな日は、
三波春夫でございます。
家に帰って冷蔵庫から缶ビールをだし、
CDプレーヤーに
三波春夫のベストアルバムをセッティング。
うん、
これでよしと。
ちゃら~~ん! こんぺーでーす!
ではなく、
三波春夫です。
サク、サク、サク、サク、サク、サクー、
せんせー、
おうっ、蕎麦屋かああ、
ビール旨いなあ。

・気にかかる短き袖や更衣  野衾