大観の白鷺

 

・田を植ゑて村とつぷりと暮れにけり

鏑木清方の『續こしかたの記』を読んでいたら、
面白い記事に出合いました。
関東大震災に見舞われたころのこと、
庭の青楓に白鷺が飛んできたそう。
家の者に指示し
大きな風呂敷で捕まえようとすると、
ばさと翼を広げて縁側に飛ぶ。
ばさばさ。
ばさ。
(とは鏑木さん書いていませんが、わたしのイメージ)
悠然として騒ぐ気色なし。
手ごろな籠に入れ、
近所のうなぎ屋からドジョウを求め
与えなどしていたところ、
のちに、
池の端茅町の
大観先生が飼育したものと分かって
返上したのだとか。
横山大観と白鷺、
似合う。
あまりに似合っていて、
可笑しすぎる!

秋田魁新報に拙稿が掲載されました。
コチラです。

・田を植ゑて父の鼾の高鳴れり  野衾