蛾君

 

・葉桜や出勤前のひとりをり

朝、家をでてドアに鍵をかけようとしたら、
すぐ横の壁に、
茶色い蓑虫のようなる、
ゴミか
とも一瞬思いましたが、
小さな蛾が居りました。
ブチッとやるのもはばかられ、
そのうち飛んでいくだろうと思って、
触れもせず。
一日、
ああでこうで
ああでこうでああでこうでして、
夜、
八時過ぎに家に着き、
家人きょうは和コーデの日、
ドアの鍵穴に鍵を差そうとしたところ、
あら、
けさの蛾君ではありませんか。
まったく同じ場所に身じろぎもせずに。
へ~。
居たの?
あれからずっと?
なにしてた?
ちょっと感動。
で、
指でチョイ。
あ、
驚いたかっ!
勢いよく飛んで
ひとつ舞いふたつ舞いしてみっつよつ。
天井の灯りへと。
分からないけどよかった。

・葉桜やかつて暫しも立ち止まらず  野衾

目に涙

 

・図書館を埋め尽くしてのつつじかな

企画の話で日キ販に行きまして、
いろいろ見せてもらった中からイシバシは、
ドン・ボスコ社からでている
『こどものいのりシリーズ』4冊を購入。
「いちにちのいのり」
「おしょくじのいのり」
「かんしゃのいのり」
「おやすみまえのいのり」
一冊の本体が380円、
手の形をしたかわいい絵本です。
打ち合わせ終って、
ビルのとなりの新教出版社へ。
旧知の仲の小林望社長へあいさつ。
社長室に招かれしばし歓談。
イシバシ何を思ったか、
買ってきたばかりの絵本を小林社長に示し、
開いたページをおもむろに読み始め
たら、
みるみる
目に大粒の涙を溜め、
泣き出してしまいました。
忙しく立ち働いているうちに、
感謝の心を忘れてしまっていたと。
その姿を見ていて
あ~らら、
こっちまでもらい泣きしてしまったよ。
おれは涙もろいんだよ。
「ことばに出合ったのですね、
わたしたちはスレてしまってなかなかそう思えない。
今ハッとさせられました。
ドン・ボスコの方が聞かれたら
どんなに喜ぶことか」
と小林社長。
ああビックリした。

・母のあとを子はぷらぷらと春の空  野衾

気分連休

 

・ゆく春を野良猫すたと見上げたり

トップページにも記載しましたが、
弊社は、
今月29日から来月8日まで
休みになります。
二日と六日をならして十日間としました。
したがいまして、
猿馬よろしく気分は早連休。
秋田へ帰ったら何するか、
どこ行くか、
何食べようか、だれと会うか、
寝て八日。
ハハ。
なのですが、
仕事はそうそう楽でなく、
大事な判断を迫られる
場面もありまして。
考えられる変数をすべて頭に入力し、
関数計算が滞らぬよう
緊張している今日この頃。
計算スピードは
年々衰えますが、
つたない経験が
ほどよく潤滑油でありまして、
ありがとさん。
さてきょうは飯田橋まで直行です。

・線でなく点がふくらむ春がゆく  野衾

メンマ

 

・華やぎて深窓に充つつつじかな

ラーメンをつくるときは、
中華街の具材屋さんから台湾製の塩漬けメンマ1kgを仕入れてきます。
今はもっぱら、
勤め先が近い家人に買ってきてもらいます。
味付けされたパックのメンマも
今どきスーパーで簡単に手に入りますが、
面倒でも、
強烈に塩漬けされた本場のものから手を加えると、
シャキシャキッとした、
歯ごたえ十分の
おいしいメンマが出来ます。
本来なら、
一週間ほどかけて塩抜きすると
何かで読んだ記憶がありますが、
ほかに仕事があるので、
それはさすがに無理だから、
熱湯を使っての簡便法で塩を抜きます。
先年亡くなった工藤正三先生に教わりました。
メンマに包丁で刻みを入れ、
細かくちぎってから大なべに熱湯を用意し、
五回塩抜きを行います。
工藤先生は三回でやっていました。
このとき大事なのは、
五回とも、
熱湯になってからメンマを投入すること。
そうしないと、
せっかくのメンマの旨みが飛んでしまうからです。
ここまでに約三時間。
それからいよいよスープづくり。

・読むでなく読まずでなきや春うらら  野衾

風林

 

・風林に鶯鳴けり旅の床

風林といえば、
すぐに思い出すのは信玄の風林火山で、
はやきこと風の如く、
しずかなること林の如く
の風・林ですが、
杜甫の詩に出てくる風林は、
それとは別であることを
吉川幸次郎の本を読んでいて知りました。
杜甫が風林というときは、
風がらみの林、
風をはらむ林
というわけで、
景がぐっと切迫してきます。
風がらみの池、淵だと風潭、
これも杜甫独特の用法のようです。

・一日の苦労一日春の宵  野衾

山の霊気

 

・山菜の土を払ひて暗き土間

季節になると、
山菜のせんせーのりゑばあちゃんをはじめ、
家族総出で山菜をとってきては、
食卓に色を添えました。
どこの農家もそうだったでしょう。
それをふつうのこととして見ていましたが、
いま思えば、
山の霊気をいただいた
のっぴきならぬ、
ありがたい時間であったなあと…。
新井奥邃(あらい おうすい)につぎの言葉があります。

視よや、目を挙げて之を見れば霊天明かなり、
胸を開いて之に触るれば
霊気清くして福(さいわい)の音(おとずれ)を聞く、
霊心動いて静息深く、
霊明の力は太陽よりも健にして直(なお)し。

・山を愛で山人たちの這ふ日かな  野衾

山菜の季節

 

・をちこちのうぐいす愛でて過ぐ日かな

下の写真は、
秋田の友人が送ってくれたものです。
リビングで旬を迎えたタラの芽、コシアブラ、
天ぷらでいただいた
と添え書きにありました。
いよいよ山菜シーズン到来。
この季節になると決まって思い出すのがりゑばあちゃん。
先年亡くなったわたしの祖母です。
山菜のせんせー、
と呼ばれていました。
それぐらい山歩きが好きで、
平地を歩くより、
山を歩くほうが速いぐらい。
腰が曲がっていましたから、
角度のある山の斜面のほうが
歩きやすかった、
というか
這いやすかったのかもしれません。
きょうは、
りゑばあちゃんの誕生日。
連休には帰ります。
ばあちゃん山で待ってて下さい。

・目覚めての草に囲まれつつじかな  野衾

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