出会いと別れ

 

・思い出も遠く淡くの桜かな

 

いきなりですが、
日本人は昔から出会いと別れを、
いや、
日本人だけでなく、
ひとは、
といったらいいでしょうか、
詠んできました。
出会いのよろこびと別れの悲しみの感懐をもつことが
リトマス試験紙になり、
すぐれた詩のよさに触れることも
またよろこばしく、
文章はまさに千古の事です。
千古とは、
過去にさかのぼっての遥かな時間
と思っていましたが、
吉川幸次郎の本を読んでいたら、
未来に向かっての遥かな時間も「古」で表し、
したがって、
千古は未来永劫、
永遠ということにもなる
ということですから、
これからも、
出会いと別れの歌は無数に詠まれていくでしょう。
春は好きな季節ではありますが、
どうも感傷的な気分になっていけません。

 

・天気予報外れて嬉し春の宵  野衾