クスリになり毒になる

 

・夢のなか欠くるものなし春野かな

中条省平さんは学習院大学の教授ですが、
わたしにとりましては、
安原顯さんが始めた創作学校の
恩師であり、
それがご縁で
今もお付き合いいただいております。
2003年に『名刀中条スパパパパン!!!』
2005年に『ただしいジャズ入門』を弊社から上梓、
現在『春風新聞』に
「翻訳ピンチ!」のコラムを継続ご執筆中。
その中条さん、
小説も音楽も映画もマンガも好きで、
しかもかなり好きで、
加うるに中条さんの紹介と評論は、
もはやひとつの芸といってよく、
したがいまして、
紹介されているものを、
読まずに聴かずに見ずに済ますことは甚だ困難になります。
前置きが長くなりました。
2015年に幻冬舎から刊行された
中条さんの『マンガの論点』新書版776ページ、
読み始めのころ、
ここで一度紹介したと記憶していますが、
読んでいると、
胸が熱くなりアタマが沸騰してきて、
つい、
パソコンを立ち上げ、
紹介されているマンガをポチッとクリックしカートに入れてしまうことに。
この本を読んで買ったマンガの数は相当。
ですので一気に読むのは危険です。
まさにおススメ上手!
なのですが、
中条さんにとりまして、
小説も音楽も映画もマンガも、
どうやら、
豊かで生々しいロクでもないこの世界に触れるための
外せないものであるようで、
(「まえがき」でそのことに触れています)
世界に触れたいとの熱が
文章に鋭く深くこめられ、
こもり、
それが読む側に真っ直ぐ伝ぱしてくるのでしょう。
ただ、
そういうクスリにもなり
毒にもなる文章ですから、
熱に浮かされヘロヘロにならぬよう
注意が必要です。

・春暁の床のうちにて雨をきく  野衾