ヘンな朔太郎 2

 

・初詣終えて軍団坂を下り

きのうにつづき、
朔太郎さんのヘンぶりを紹介します。
「老年の恋」と題してこんな文章がありました。

「女の性愛の中には、多くの場合に母性愛が含まれて居る。それは生理的な欲情以外に別の精神的なもの、人倫的なものを要素として居るのである。男もまた或る年齢に達する時、それと同じ性愛を傾向して来る。一般に年を取つた男たちは、ずつと若い女を愛し、小娘のやうな女にのみ、純真の愛を感じて居る。なぜなら性欲の衰退と逆比例して、精神的な愛への要求が、次第に強くなるからである。(ハハハハ…。そうか?――三浦)老人の性愛は、彼の小娘のやうな女の中に、父としての人倫的な愛撫を感じて居る。豊熟した年増女(ハハハハ…。「豊熟した年増女」って、ひどい言い方。でもおもしろい――三浦)は、直接の性欲を感じさせることによつて、いつも老人を不快にする。(アハハハハ…。――三浦)ただ若く初々しい女だけが、老人にとつては可愛らしく、プラトニックな恋愛を指嗾して来る。(以下略)」

目のぎょろっとした、おもしろくなさそうな
あんな顔して、
こんなことを考えていたんですね
朔太郎さん。
「指嗾」は「しそう」と読み、そそのかす、けしかけることを言います。

・冬の朝しろばんばの懐かしき  野衾