チーズおかき

 

・握りもつ潔きもの太き葱

きのうは、
商品名「LOVE RIVER」なる
トイレットペーパーの話でしたが、
きょうは、
ブルボンの「チーズおかき」
なに買うでもなく、
たまにふらりとコンビニに入り、
店内を、
ゆっくりぐるぐる廻っていると、
かつて、
山芳製菓のポテトチップス「北海道リッチバター味」
がそうだったように、
向こうから、
「美味しいよ。買って! 買って!」
と訴えかけてくる
場合があります。
それが今回の
ブルボン「チーズおかき」
前から気が向けば、
買って食べてはいました。
が、
美味しくはあったものの、
ま、
とりたてて
言うほどのこともないか
という気味で過ごしてきたところ、
この度は、
なんとなく気配が違っており、
近づいて、
ふと見れば、
ななんと、
「さらにチーズが香り高く!」
と書いてあるではないか!
さらにさらに、
「香り立つチーズと醤油のハーモニー」とまで。
これは買わずばなるまいよ。
てことで、
買って家に帰り、
封を開け、
小袋を破った瞬間、
まさに、
チーズと醤油がハーモニックに香り立つではないかっ。
すかさず口中へ。
ああ、
うんめ~~~!!
家人と争うように食べ、
すぐに無くなりましたので
また買ってきました。

・まずつまむがりりと眩し白き葱  野衾

愛の川?

 

・小春日をまなこ細めて猫のごと

昼、
JR保土ヶ谷駅の立ち食い蕎麦が食べたくなり、
いそいそと出かけ、
かき揚げ蕎麦+ミニカレーセット
610円のチケットを購入、
最後の汁まで飲み、
欲望を満足させました。
帰途、
買い置きのコーヒー豆が少なくなっていることを思い出し、
なじみの帷子珈琲店へ。
ブラジルとコロンビアを
それぞれ100gずつ。
客で混んでいるので店内では飲まず。
さてと。
踏み切りで足留めを食うも、
腹が満足していて余裕があるせいか、
いっこうに苛立たない。
その場でゆっくり
一回転し、
辺りの風景を見遣ったり。
しているうちに遮断機が上がり、
ぷらぷらと。
今度は横断歩道。
余裕余裕。
いっこうに苛立たない。
と、
信号待ちするおじさんの右手にトイレットペーパー。
見れば、
LOVE RIVER の文字。
LOVE RIVER。
愛の川?
トイレットペーパーがなんで愛の川?
実事遂行ののち
凸凹拭いてトイレで流す
ってか?
あはははは。
あらぬ想像が脳裏をかすめ、
思わずプッと笑い噴出。
おじさん振り返る。
いや、
あなたを笑ったわけではありません。
どうもスミマセン。
ぺこり。
でも、
どうみても可笑しいでしょラブ・リバー。
愛の川なるトイレット・ペーパー。
ネーミングの妙だわ。

・ホッカイロ貼りて出陣ガンベルト  野衾

一日の苦労

 

・目の前を過ぎて地に着く落ち葉かな

だから、あすのことを思いわずらうな。
あすのことは、あす自身が思いわずらうであろう。
一日の苦労は、その日一日だけで十分である。

わたしが生まれる前の
一九五五年に改訳された口語訳聖書、
「マタイによる福音書」六章三十四節にあることばですが、
ふと、
とにかく一日、
ふと、ふと、ふと、ふと、
が多くあり、
無視することがほとんどとはいえ、
無視しないほうがいいかも、
と、
ふと思うこと間々あり、
今回は、
無視しないことにしまして、
文語聖書をひらいてみました。

この故に明日のことを思ひ煩ふな、
明日は明日みづから思ひ煩はん。
一日の苦労は一日にて足れり。

とこうあり、
どちらがよいとはいえないし、
いう必要もありませんけれど、
それよりも、
いちにちのくろういちにちのくろう。
きのうのでなく、
あしたのでない、
いちにちのくろうだなぁ。
今週はきょうで終り。

・いま離れくるり「す」と散る落ち葉かな  野衾

いちゃいちゃしよう!

 

・ふるふるり語る語らぬ海鼠かな

先日テレビを点けたら、
瀬戸内寂聴さんがでていたので、
源氏物語のことかな
と思ったら、
源氏物語のことでした。
源氏ファンのわたしとしては見逃すわけにはいきません。
まん丸お顔の寂聴さん。
苦渋三歳。
いや九十三歳。
元気元気。
癌が見つかったとき、
医者が
「高齢の方は癌の進行がゆっくりですから、そのままにしておきますか?」
と尋ねたところ、
寂聴さん言下に
「気持ち悪いから取ってください」
って言って、
手術して取ってもらったそうです。
天晴れ!
ところで、
如上の番組のなかで、
寂聴さんは、
「男と女がいちゃいちゃしてたら戦争なんかしませんよ」
っておっしゃっていた。
安倍さんも、
戦闘機のコックピットに収まって
ご満悦になるよりも、
源氏物語を参考書にして
いちゃいちゃを楽しんでくれたらいいのに。

橋本照嵩『石巻かほく』紙上写真展
の三十九回目が掲載されました。
コチラです。

・手は二本荷物重たし冬の雨  野衾

ニシン蕎麦のニシン

 

・凩や又三郎と朔太郎

太宗庵のニシン蕎麦が好きでたまに食べるのですが、
ニシン蕎麦のニシンだけ頼むのもあり、
ということを
昨日知りました。
昼によく来るおじいちゃんがいて、
何も言わなくても
ビールが供されます。
「いつもの」というわけなのでしょう。
壜のビールが無くなるころ
「お酒を」と耳にしたことがありますから、
基本ビールで、
追加で頼むのが日本酒でしょう。
で、
「ニシンをつまみで」
が昨日のこと。
なるほどねぇ。
あのニシン、
味がしみてて美味しく
箸でサッと切れますから、
つまみにはもってこいでしょう。
そうか。
そういう頼み方もあったか。
そうかそうか。

・北風の勢い増せり交差点  野衾

マイナンバー

 

・立ち止まり立ち止まりして落ち葉かな

来ないな来ないなと
呪文のように唱えていたマイナンバーが
留守中に届いたらしく、
不在連絡票が入っていました。
ので、
出勤前、
早々に郵便局に出向きました。
九時前のこととて、
不在連絡票を手に持ったひとの列が、
受け取り窓口の前に出来ています。
わたしのすぐ前は、
このごろあまり見なくなったパンチパーマ強面のおっさんで。
実に実に落ち着きがありません。
ジャンパーのポケットに手を突っ込んだまま、
左足と右足に際限なく重心を移動させ、
必要なさそうなのに、
ときどきズボンを上げたり、
挙句の果てにその場で一回転したり。
やがて携帯電話を取り出しました。
「まだ並んでんだよ。わかったよ。そこに赤い紙あんだろ。ほら、なんとかナンバーの。
それ持ってきてくれよ。いいじゃん。持って来いよ。二度手間ヤだから」
間もなくキレイな女性が、
ピキピキしながら赤い不在連絡票を持ってきました。
奥さんでしょうか。
ピキピキしていますが、
キレイなことはキレイです。
パンチパーマをするぐらいのひとは、
キレイな奥さんをもらうのでしょうか。
やがて九時近くになって、
並んだ列の長さを見かねてか、
窓口の係りとは別の女性がそばに来、
「マイナンバー受け取りで来られた方は、
時間短縮のために、保土ヶ谷区の次の町名を教えてもらえますか?」
と言いつつ、
赤い連絡票を持ったひとから町名を聞きだし、
連絡票を取り上げていきました。
窓口は二人の係りがてきぱき動いているようですが、
荷物を受け取るまで相当時間がかかっています。
やっとのことで、
パンチパーマの順番になりました。
イライラがもはや極限に達していたようで、
「っんだよ。やくしてくれよ。こちとら急いでんだからさっ。ほら。これだよ」
「お客様、この荷物は係りの者がすでに持って出ていて、お渡しすることが出来ません」
「あん? あん? あん? っんだよ。っんだよ。受け取れねーのかよ」
「はい。お渡しすることが出来ません。マイナンバーのほうはどうされますか?」
「さ、さ、さっき変な女が来て取ってったよ」
わたしはここで、
ぷっと吹きそうになりました。
保土ヶ谷区以下の町名を尋ね不在連絡票を回収していった女性は、
決して「変な」女性ではありませんでした。
しかし、
イライラが極点に達し
泣きそうになっているパンチパーマには、
奥さん以外の女性はすべて
変な女性に見えたのかもしれません。
結局、
時間切れだったらしく、
パンチパーマは当初の目的の荷物も
マイナンバーも受け取れず、
いつの間にか局から姿を消しておりました。

・マイナンバー昭和は遠くなりにけり  野衾