杜甫と芭蕉

 

・一杯の酒ことし最初の鍋となり

小西甚一の『日本文藝史』が
ようやく松尾芭蕉のところまできました。
ふ~。
芭蕉がいかに凄いか、
小西さん、
記述に相当力が入っています。
してその芭蕉先生、
これはつとにいわれてきたことですが、
杜甫の詩をずいぶん読み込んでいたらしいことが
この本を読むとよく分かります。
杜甫の詩か~。
杜甫の詩といえば、
もう三十年、
いやもっとまえになるでしょう。
筑摩書房から出ていた吉川幸次郎の
『杜甫詩注』五巻を購入し、
いつか読もういつか読もうと思ってきたところ、
時間ばかりが経ちまして。
やっとその時期が巡ってきたようです。
大きい本は、
若いときに買ってもすぐ読まず、
興味関心が螺旋をまき、
絞り込まれたときに読むのがいいようにも思います。
(↑言い訳)
ていうか、
すぐに読み始めても
きっと読みきれなかったでしょう。
今も無いとは言えませんが、
若いときはやたらに雑念多く、
疾風怒濤が猛り立ち、
とても落ち着いて本など読んでいられませんでした。
小西さんの本を読んでいると、
吉川幸次郎というひとは、
百年や二百年のスパンで計れないほど
漢文ができたひとだったことに気づかされます。
空海とか
そういうひとぐらいに。

・秋風や道の奥から又三郎  野衾