語り口

 

・秋風やページはらりと文庫本

小西甚一の浩瀚な『日本文藝史』を読んでいると、
ハッとさせられることが多いのですが、
あまりに物事をはっきり言っていて、
思わず大声をだし笑ってしまうことがあります。
たとえばこんな箇所。
「連歌人口の増大と表現の平明さとを結びつける考えかたは、
あまり教養の無い者たちにとって複雑・微妙な表現がお荷物のはずだ――という前提に立つ。」
それはそうかもしれないけれど、
そうはっきり言わなくても
と思ってしまいます。
でもやっぱり可笑しい。
そもそも小西さんは、
ドナルド・キーンさんの強い推薦もあって
スタンフォード大学に招かれていったぐらいの秀才で、
この本は、
日英両語で出版されたぐらいですから、
シンプルなことをむずかしく言って煙に巻く
ような日本人体質は、
端から拒絶されたのかもしれません。
もうスパパパパン!!!と切っていくわけです。
それがなんとも心地よく
しかも分かりやすく腑に落ちます。
かと思えば、
嵐のあとの凪のように、
静かに慎重に論が展開されて息を呑むことも。
語り口の妙なのでしょう。
語り口といえば。
先夜、
二時ぐらいだったでしょうか。
(年のせいか、このごろたまに夜中、目が覚めます)
眼が冴え身じろぎもせず
闇に目を凝らしていたとき、
家人いきなりハッキリと「内容が分からん!」と言い切りました。
こんなハッキリとした寝言も珍しい。
どんな内容の夢だったのか、
朝、
目を覚ました家人に確認しても分からずじまい。
まったく内容が分からん! でした。

橋本照嵩『石巻かほく』紙上写真展
の三十三回目と三十四回目が掲載されました。
コチラコチラです。

・星月夜理科の教室思い出づ  野衾