掃き清め

 

・魔のごとく体育館の上の月

秋田の母親を見ていて思うのは、
癖が似ているということ。
下に落ちているモノを拾わずにいられないのもその一つ。
悪い癖ではないと思いますが、
それをいま拾わなくたって、
と思うことも間々。
でも、
拾わずにいられない…。
どうも自分の居るところの横でなく
上でなく、
下が気になります。
その感覚は、
本を読んでいるときにもあり、
からだというか
こころというか、
底を掃いているような気がするときがあります。
本を読んでいて、
あああ、
と思うと、
自分は
なにものでもなく、
いろいろ持っていても、
死ねばあちらに持っていけないし、
だから結局
なにも持っていないと同じで、
と、
つらつらつら。
さささっと、
掃かれている気がしてきます。
場は自分であります。

・ころころり終りなきよな虫の声  野衾