横浜高島屋

 

・野分中傘の骨骨怒髪天

いつ行っても気持ちいいのが横浜高島屋。
気持ち悪いのが貧乏ゆすり。
待ち合わせの時刻より少し早く着いたので、
正面玄関を入ったところのソファに腰掛けたところ、
となりの爺さんが
一定の間を置いて激しく貧乏ゆすり。
文庫本に目を落としていた視界にそれが入り、
ちらと顔を覗くと、
眉毛も白髪のおとなしそうな爺さんで。
それなのに、
貧乏ゆすりは、
まるで夜露死苦を飛ばす不良少年並み。
ひざ下が別の生き物。
やがて老妻登場し、
やおら立ち上がりいっしょに外へ。
ははあ。
奥さんが買い物するのを待っていたのだな。
ほどなくO先生登場。
エスカレーターで六階へ。
降りた階にいた店員に
「資生堂パーラーどちらでしたっけ?」
笑顔で「はい。こちらです」
すぐに歩き出して案内してくれます。
「何度来ても覚えられなくてスミマセン」
「いえ。外はまだ降っていますか?」
「降ったり止んだりですね」
わたしが長靴を履き、
資料をビニール袋に入れているのを見ての言葉だったのでしょう。
この店の人は
どなたに限らず、
こういう対応をしてくれます。
行き先を尋ねると、
その場を動かずにいて
指先で方向を示すことをしません。
スッと体ごと動かし案内してくれます。
それがなんとも気持ちいい。

橋本照嵩『石巻かほく』紙上写真展
の二十九回目が掲載されました。
コチラです。

・重なりて抜きつ抜かれつ野分雲  野衾