ある連想

 

・台風来蟷螂のごと身構えり

梅雨の時期よりも雨が降る今日このごろ。
地下道を歩いているわたしの目の前を
ショートカットの
痩せぎすの女性が歩いておりました。
歩くスピードがほぼいっしょ。
追い抜きもせず、
離されることもなく。
女性から二段離れて昇りエスカレーターに乗りました。
うなじが目の前にあります。
ん。
似ている。
たしかに似ています。
口に出しては言えないけれど、
刈り上げにしたところから
強《こわ》い毛が生えている状態というものは、
毛を毟ったニワトリを、
とくにニワトリの
皮がフニャフニャな首周り
を連想させずにはおきません。
さらに。
父がまだ子どもの頃。
ニワトリを絞めて毛を毟ったところ、
絞め方が充分でなかったのか、
裸にされたニワトリが
死に物狂いになって逃げ出した
のを
父の父であるトモジイが
目の当たりにし、
眼を回し、
腰を抜かしたのだとか。
そんなエピソードまで思い出されます。
エスカレーターを降り、
女性は野毛方面へ。
わたしは
セブンイレブンの横を通って
本町小学校のほうへ向かいます。

・台風圏低木に鳥鳴いてをり  野衾