ぼくの速読術

 

・新聞社ひと少なしの爽気かな

本を速くは読めませんが、
つづけることはあまり苦でなく、
したがって、
長いものでもいつか終ります。
学習院の中条省平先生から
三浦さんはイソップみたいなひとだからなぁと、
ご指摘を受けたゆえんです。
が、
速読をしないわけでもありません。
それを「読む」行為に含めるか否かは少々問題ですが…。
まず、本を手に持ち、
上下にゆすり上げ重さを確かめる。
ジャケットのデザインを眺め、
手触りを味わいつつ
おもむろにジャケットを外し、
表紙の紙とデザインを凝視する。
ジャケットはおおむね華やか、
対して表紙は地味なものが多い。
地味な表紙の意匠に
本作りの思想が現れているとぼくは思う。
なんて。
表紙を開き、
見返しとのバランスを確かめ、
本扉、共紙の扉があれば共紙扉、目次をゆっくり読んでいく。
本文を飛ばし巻末の奥付を見る。
著者の略歴を読む。
さていよいよ本文。
最初の十ページをゆううっくり読む。
十一ページ目からはパラパラとページをめくり最終まで。
十一ページ目からのパラパラを三度繰り返す。
以上。
ぼくの速読術です。
これでなにほどのことが分かるか。
いや、
けっこう見えてくるところがありまして。
これなら
一冊一時間とかかりません。
眼球の動かし方がどうとかと
アクロバティックなことも不要。
手と指で読む。
ただしこれは、
紙の本に限ります。

・秋なれば烏の声も澄みにけり  野衾