見てみたかった

 

・虫の声聴きて家路を通り過ぐ

駒澤大学での打ち合わせの帰り、
いっしょに行った専務イシバシが、
この近くにいいお店があると言うので、
入ってみることにしました。
大通りから少し逸れた所にある
なんということのない
小さな喫茶店でしたが、
とても落ち着きます。
カウンターとテーブル席がありますが、
五、六人入ったらいっぱいな感じ。
窓際のテーブル席で
ケーキを食べているきれいなおばさんがいました。
すぐに、
見たことがある!
と思いました。
ん?
日色ともゑさんに似ている。
似ている。
似ているゾー!
いや、
似ているのでなく、
日色ともゑさん
だな。
俳優さんだからなぁ。
齢はとってもきれいなものです。
日色さんが店を出てから、
イシバシに、
いまそこに日色ともゑさんがいたよ
と告げると、
なんで教えてくれなかったんですか…。
だって、
教えたら、
あなた絶対からだを大きく動かして
本人に気づかれるように見るでしょうよ。
見てみたかったなぁ、
と悔しそうな専務イシバシ。
レモンティーとマサラティーを運んできた店のママさんに、
「いまそこにいらした方は俳優の…」
とイシバシが
我慢ならずに尋ねると、
「はい。日色ともゑさんです。
週一回ぐらい見えられますよ」
「そうでしたか。見てみたかったなぁ」
とことん悔しそうな
専務イシバシでありました。

橋本照嵩『石巻かほく』紙上写真展
の二十八回目が掲載されました。
コチラです。

・宿題を終えて万端りなぴかな  野衾