おねえさん

 

・待ち待ちて色を変ぜず白紫陽花

そこに洋食店があることは知っていたのですが、
とくに理由はないのですが、
いや、あるか、
太宗庵の近くなので、
太宗庵の引力が強く、
真面目なわたしは他へは目もくれず、
太宗庵太宗庵と草木がなびくようになびいてゆくのでした。
先週の木曜日だったでしょうか。
通常なら太宗庵は営業しているはずなのに、
なにか理由あって休みでした。
ので、
さてどうしましょう。
きょろきょろ辺りを見回していたら、
あら、
洋食屋さんがあるじゃないの。
というわけで、
初めて入りました。
ハンバーグとかステーキとかを得意とするお店。
なのに、
わたしはメニューにあった
エビフライ定食に眼が奪われ、
エビフライを所望、
しようと思って通りがかりの女性に、
「おねえさん!」
「はい」
「エビフライ定食をください」
「はい。わかりました」
ただそれだけの会話でしたが、
おねえさん!は効いた。
その女性店員、
いきなり、
顔からフローラルブーケな香りが
ほわほわ~んと漂うほど、
すてきな笑顔に彩られました。
わたしよりは下でしょうが、
年齢的に、
世間相場としては
少なく見積もっても「おばさん」のはず。
なれど、
いや、だからこそ、
「おばさん」
とは呼ばれたくないのかもしれない。
絶対そうだ。
そうにちげーねー。
おねえさん!
おねえさん!
よし!
これからおばさんを見たら、
おねえさんと呼ぶことにしよう!

橋本照嵩『石巻かほく』紙上写真展
の二十回目が掲載されました。
コチラです。

・紫陽花やその色空と比べをり  野衾