眞奈美さん

 

・詩集閉づ人間初夏の夕べかな

夢に冨士眞奈美さん。
連れ立っていっしょに歩いていました。
眞奈美さんとなら、
いつだって
楽しく
浮き浮きしてきます。
いつどこから現れたのか、
すぐそばでバシャバシャ写真を撮る青年、
カーキ色。
眞奈美さん、
手をかざしフラッシュの光を
ちょっと避けるようにしましたが、
撮られることを嫌がっている風ではありません。
俳優さんなので、
街にでれば毎度のことなのでしょう。
やがて写真青年は姿をくらまし、
ぼくは眞奈美さんと橋を渡り、
右手の商店街に入っていくようでした。
仕事忙しくないのかな、

心配になりましたが、
そのことを口にすると、
「あら、いけない! 忘れてたわ」
なんて思い出して、
せっかくの楽しい散歩が中断しそうな気がし、
ぼくからは
何も言わないことにしました。
眞奈美さんは、
店のウインドウを見ながらごくふつう。
ぼくは、
眞奈美さんの横顔を見ながら、
とくべつ感、
これは現実だろうかといぶかっています。

・金目鯛まん丸目玉透き通る  野衾