全一

 

・太りたる鮎を食して腹太る

「人間は一生のうち逢うべき人には必ず逢える
しかも一瞬早過ぎず、
一瞬遅すぎない時に」
のことばをのこした森信三は、
西洋哲学と東洋哲学を融合する
全一学を提唱した哲学者でもありましたが、
この全一、
全にして一、
一にして全、
分かったような
分からぬような、
でも人生の極意を言い当てているようで、
魅力的な文言でありますが、
今読んでいる手塚富雄の
『ヘルダーリン』にたびたび登場してきて驚きます。
手塚さんが森さんを知っていた
とか、
森さんがヘルダーリンを読んでいた
とか、
そういうことが
あってもなくても、
中身からいって面白いなあと思います。
また、
モデルの山口小夜子が亡くなったとき、
追悼の文章を書いた松岡正剛は、
そのときの心情とかさね
ヘルダーリンに言及しており、
それを印象深く読んだ記憶があります。
さらに、
ハイデガーが「詩人の詩人」とよんだヘルダーリン、
後半生は頭が半分おかしくなって、
以来、
死ぬまで塔の中で暮らしたヘルダーリン、
ヘル、ヘル、
ヘルダーリン、
地獄極楽ヘルダーリン、
だんだんあやしくなってきたけれど、
ちょっとなんだか相当に面白い!

・待ちわびて早登場の甲虫  野衾