思いつづける

 

・うたげ終え務め果しし桜かな

『石巻かほく』紙連載の
「橋本照嵩の紙上写真展」に併載する文章の仕事を賜り、
たのしく苦しく勉強している。
強いて勉める勉強は
やはり苦しく、
苦しさを通じて
体得するところあってのたのしさであることは、
子ども時分から同じであるなぁと。
一枚か二枚の写真に添え、
三〇〇~四〇〇字の文を書く。
写真集『石巻』は、
会社と自宅に置いてあるから、
見ようと思えばいつでも見られる。
しかし、
評価はともかく、
写真と対峙する文章を書きたいと願って視るとなると、
ただごとでは済まされない。
わたしは写真家ではないし、
石巻の人でもない。
いわばよそ者だ。
よそ者に徹して、
それでも一枚か二枚の写真を凝視し、
凝視し、
なおも凝視し、
(橋本さんの写真が凝視を誘い凝視に堪えるは言うに及ばず)
それでもなんも出んこともあり、
一週間、
脳裏や瞼や胸に記憶された写真を思い、
思いつづけ、
歩くときも、
電車に乗っているときも、
食事をしているときも、
歯を磨きながらでも、
とにかくなりふり構わず思い、思いつづける。
この思いつづけることが、
いわばわたしの愛情です。

・一夜雨まぶたに浮かぶ桜あり  野衾