詩のレッスン

 

・病院へ行く途よこの花ぐもり

そういうタイトルの本で、
副題は「現代詩一〇〇人・21世紀への言葉の冒険」
入沢康夫、三木卓、井坂洋子、平出隆、
四人の編者が順に好きな(?)
詩を選び解説を加えている。
一九九二年新年からほぼ二年間
『週刊ポスト』誌に連載されたものを
一冊にまとめてあり、
読みやすく、分かりやすく、
勉強になります。
取り上げられた詩が
必ずしも分かりやすい訳ではありませんが。
巻末には、
詩人一〇〇人の写真つき略歴まで収録されており、
これまた便利。
詩とあわせると、
へ~、
この顔の人がこの詩かと
感慨も一入。
敬愛する佐々木幹郎さんは、
清清しくさっぱりしていてカッコいい!
面白いのは、
解説が見開き二ページで先にあり、
ページをひらくと詩が出てくるという順番。
ふつう逆ではと思うのですが、
レッスンなのでこの順か。
「語りえないもの」の造形という題で
入沢康夫は、
安東次男の「樹木開化」という詩も取り上げています。
副題は「髪をえがけ!――桂川寛に」
ん!
桂川寛に…。
装丁家・桂川潤さんのご父君だ。
「樹木開化」が入っている安東の詩集『蘭』の表紙、挿絵は、
桂川寛さんの作品です。

・花ぐもり花の下なる人静か  野衾