読むこと

 

・花粉症我のタンクは未だ充たず

読むといえば、
「読書」というぐらいですから、
本を読むことになりますが、
あたりまえながら、
この場合、
まず字が書いてある本でしょう。
しかし、
字が書いてなくても、
読むという行為はありえるし
楽しいし、
また考えるよすがになると、
このごろとみに感じます。
古語の「よむ」は「よぶ」と同系統の語であるらしい。
これは二つとも声に関係しているからで、
文章、詩歌、経文などを
声を上げて唱えることがかつては
「読む」だった。
さらに、
「よむ」が「よぶ」と同根だとすれば、
呼び招く、差し招く、招待するの意もそう遠くない。
恋する人を呼び招き
差し招くように、
対象の肩に触れ、
腹に触り
息を合わせ、
距離をなくすることが
「よぶ」=「よむ」なのだ。

・疲れきて音無き雨の懐に  野衾