道具考 2

 

・春の風アウトレットの内外かな

前回鉛筆でしたので、
今回は、シャープペンシル。
これの画期的なところは、芯が太らないこと。
書きやすさでいったら、
鉛筆にまさるものはないと思いますが、
鉛筆の最大の弱点は芯が太ること。
あたりまえのことながら、
これがひじょうに困ります。
書くことが思い浮かび、
ゆるゆると書き始め、
次第に興が乗り、
最高スピードに達するかと思いきや、
芯がぶっとくなって書きづらく、
鉛筆削りで芯を細くしなければなりません。
まさに寸止め。
ガリガリと芯を細くしているうちに、
イメージもアイディアも雲散霧消なんてことになりかねない。
それを解消したのがシャープペンシル。
だってカチカチさせるだけで、
文字通り、
芯がずっとシャープなんだもの!
芯の取替え時期ということがあり、
そのときたまたま、
素晴らしいアイディアが滾々と湧きでていたのに、
なんてことも
ないわけではないけれど、
そんなにはない。
というか、まあ、ない。
自分にフィットするシャープペンシルほど、
ふだんあまり意識しませんから、
よけいありがたく思います。
なんでもそうでしょうけれど、
すぐれた道具というのは、
それを使っていることを
使い手に意識させず、
使い手を当の目的に直に向かわせます。
道具が道具としての存在を主張しすぎることは、
けして好ましくなく、
どっちが主人か分からなくなって、
やがて道具に使われる、
ということにもなりかねません。
前置きが長くなりました。
わたしが気に入ってずっと使っているシャープペンシルは、
PILOT Dr. GRIP・0.5
ボディーの重量、持ったときの感触、グリップの具合、
長く使っていても、
芯がでてくるところの遊びが大きくならず、
この道具をいま使っている
ということをほとんど意識せずに、
書くことに集中できます。
わずか数百円のものですが、
わたしには今のところこれが一番です。

・雲切れて三月の空色づけり  野衾