苦吟の効用

 

・初句会恥ずかし楽し春の中

この日記の前と後ろに俳句を二句載せていますが、
季節を感じてスッとでることもありますが、
どうあがいてもなんもでん
ときもありまして、
そういうときに参考にしているのが、
村上護『今朝の一句 366日の俳句ごよみ』(講談社)
石寒太『俳句日暦 一人一句366』(PHP文庫)
二冊とも365日でなく
366日であるのは、
うるう年を念頭に置いているからなのでしょう。
この二冊の「きょうの日」
を眺めても浮かばないときは、
白石明大『日本の七十二候を楽しむ 旧暦のある暮らし』(東邦出版)
をパラパラめくります。
それでも駄目なとき、
角川書店編『合本俳句歳時記』第三版
に縋るしかありません。
こんなふうに、
一日二句でもそれなりの苦労はありますが、
またそれ以上の楽しみや喜びもあり、
季節の移ろいを
若いときに比べて意識するようになったのは、
もちろん齢を重ねたことにもよるでしょうけれど、
句作の効用であろうと思われます。
それと、
駄句をひねって苦吟しながら、
上記の本を眺め、
先人のすぐれた句に接すると、
ほうと溜息がでることしばしばで、
「かなわないなあ」と、
我が心の傲慢さが砕かれる具合ですから、
これまた大きな効用かもしれません。
思うところあって
独り句作を始めてから七年ほど経ちますが、
先日初めて句会に参加しました。
司会進行役の宗匠さんも含めて投句し、
初心者も経験者も関係なく
無記名状態で選句するということに、
限りない魅力を感じました。
民主的と言って、
これほど民主的なことは他にないのではと。
句会が座の文藝とよばれる所以を垣間見た気がします。
鼻糞な個性より伝統が大事と肝に銘じた次第。

・俳号をなににしようか初句会  野衾