笑いのツボ

 

・さむさむといひて寒さを招きをり

函入り六八〇ページの堂々たる
『初期のいましろたかし』を読んだ。
身につまされたり笑ったり身につまされたり笑ったり。
何度もイヒヒヒ… アハハハ… と笑っていたら、
「何がそんなに面白いの?」と家人。
「ほら、こういうの。イヒヒヒヒ」
家人、マンガをやおら手に取り、
ぱらぱらとめくり、
「こういうマンガ好きじゃない。したがってそれを読んでる人も好きじゃない」
「したがってって。フツウ話し言葉で言わんだろ。アハハハハ」
って、
笑いのツボに嵌ってしまっているわたしは、
何を見、何を聞いても笑いが止まらなくなっている。
たとえば「LIVE!ヤマギシ」という作品。
「昭和38年8月24日 早朝に山岸潤史(やまぎしじゅんじ)は
山岸家の長男として生まれた 5時間遅れで乙女座 ちなみに血液型は B型だった
健康な男の子だったが 少し体が小さかった 山岸が そのことを気にし始めたのは
小学校に上がってからだ」
この体の小さい山岸の風体、立ち居振る舞いがなんとも可笑しく悲しい。
まさに笑いのツボ!
この山岸、高校生になって川端式伸長法を始める。
これはもう腹を抱えて笑うしかない。
なぜならば、
なぜならば、
なぜならば、
高校生時代
わたしもこの身長増進法をやったからだ!
アハハハハ…。
でも、じぇ~んじぇん伸びなかった。
アハハハハ…。
いや、やったから、少し伸びて今があるのかも。
アハハハハ…。
事ほど左様に、
笑いのツボなのである。
このマンガでは
「川端式伸長法」となっているが、
実際は川畑式伸長法だろう。
川畑式伸長法は、
川畑愛義(かわばた・あいよし)が考案したもの。
川畑は鹿児島県生まれ、京都大学を卒業し同大学教授を務めた医学博士で、
長命を保ち多くの一般啓蒙書を著したとウィキペディアにある。
一九〇五年生まれで二〇〇五年まで生きたのだから、
長命といえるだろう。
秋田の田舎の畳の部屋で、
ワッシワッシ、ピョンピョンやったね~。
懐かしいなあ。
家族に見つかったら恥ずかしいから、
ジャンプする力を加減して音を出さないように工夫などし。
涙ぐましかったね~。
川畑式伸長法。
嗚呼、我が青春!

・散髪後体感温度の下がりをり  野衾