・すずしろや色に染まりて養はむ

子供のころから人の顔を視る癖があります。
じっと視過ぎて誤解され、
先輩から
殴られる寸前までいったこともありました。
出社時、
紅葉坂を上っていて、
坂を下ってきたオヤジから、
すれ違いざま
「なに視てんだよー」

すごまれたことが一度あったっけ。
さて昨日のこと、
仕事が終り
桜木町の駅に向かって歩き、
いつものコースを辿って
エスカレーターに乗りました。
下から色白の可愛い顔の女性がスーッと上ってきました。
だんだん近づいてきます。
色白の可愛い女性は、
絵で描いたように目鼻立ちがくっきりしており、
色白でとても可愛いのですが、
立体的な凸凹があまりなく、
なんとなく、
平らです。
なにかに似ている。
なにかに。
なにかに。
そうだ。
でんでん太鼓!
あ。
いままさに思い出した。
わたしの、
人の顔を視るこの癖、
死んだトモ爺がそうだった。
正月、化粧をする末娘(わたしにとっては叔母)
の顔をじっと視過ぎ、
娘からやんわり窘められていた。
そんなこともあったっけ。

・地下の道でんでん太鼓の響きをり  野衾