齋藤正寧町長を悼む

 

・赤沢や赤心逝きて雪降り積む

きのうは仕事始め。
社内で一杯やりほろ酔い加減で帰宅すると、
ケータイに父から電話のマーク。
留守録の声を再生し、
わたしに呼びかける第一声で
だれかが亡くなったと確信した。
ふるさと井川町の齋藤正寧(さいとう・まさやす)町長が昨日の朝、
病院でお亡くなりになった。
享年七十二。
正寧町長が中心となり編纂し
一九八六年十一月に上梓された
総ページ数一四〇〇を超える『井川町史』には、
巻頭に若き町長の顔写真と
発刊にあたっての
誇らしげな文章が収められている。
正寧町長は井川村赤沢出身。
祖父の多十郎、父の正作につづいて首長となり、
九期三十六年の任期を二か月残し天に召された。
『広報いかわ』二〇一五年一月号には
「新春 町長インタビュー」として、
昨年十二月十九日に行われた記者会見での発言が収録されている。
行政の長として冷静に町の状態を分析したあと、
最後に、
つぎの言葉をもって発言を締めくくっている。
「また、生活習慣病対策と健康づくりを推進すべき首長自らが「がん」を患ってしまったことについては、住民の皆さんに対し、深くお詫び申し上げなくてはなりません。
この度、自らの体調について熟考した結果、町長職から身を引くことを決断いたしました。二月末の任期まで残りわずかとなりますが、全力で職務を全ういたしてまいります。」
齋藤正寧町長のご冥福をお祈りいたします。

・父と子の赤心燃ゆる雪の町  野衾