桂川潤さん

 

・旭日や息白くして猿のごと

装丁家の桂川潤さんに
このごろいくつか装丁をお願いしていますが、
もともとのご縁は、
ご著書『本は物である 装丁という仕事』に、
拙著『出版は風まかせ』から引用してくださったことでした。
『本は物である』は、
本は物であることをていねいに説いた本で、
内容はもちろんですが、
お人柄がにじむ、いい本だと思います。
電子書籍が騒がれるようになってから、
本に関する本が多く出版され、
いくつか読んでもみましたが、
この種の本で
読後しみじみひっそりしたのは、
『本は物である』だけといっても過言ではありません。
わたしは乱読で、
読む本のジャンルは固定していませんが、
どのジャンルのものでも、
人柄に触れるもの、
それも、
いい人柄に触れるものを読みたい。
文はたしかに藝であるけれど、
仕事とあわせこれだけいろいろ
文に接していると、
藝を超え、
あるいは藝の裏づけとしての人柄
ということを思わずにはいられません。
桂川さんは装丁家ですが、
彼の書く文章は潔くスッキリしており、
そこが一番わたしは好きです。
透けて邪推することがないということは、
稀有なお人柄の証とわたしは思っています。
さて、その桂川さんですが、
『出版ニュース』に橋本照嵩さんの
二冊の写真集を取り上げてくださいました。
コチラです。
また、桂川さんのサイトはコチラ
面白いですよ。

・ばさばさと日捲り剥がる師走かな  野衾