アウスボイトゥング

 

・短日の瞬きまでも惜しみけり

語学が端から不得意なわたしではありますが、
そうはいっても、
大学では英語のみならず、
第二外国語まで履修しなければならず、
仕方なくドイツ語をとりました。
ほとんど全部忘れましたが、
アウスボイトゥングだけは憶えています。
これ、日本語に訳すと、
搾取。
資本家は労働者を搾取するの搾取。
声に出してみると、
いかにも搾り取る感じがし、
中身は嫌いですが、
語の響きが好きでした。アウスボイトゥング。
絞って絞って絞って搾り取る。
そうすると、
次のイメージはどうなるかというと、
擬態で木に似せ体を細くするあのフクロウ。ヒョ~ッ!
また、
百姓は生かさず殺さずも連想のうち。
というわけで、
資本主義であろうとなかろうと、
権力者は市井の民を、
古今東西
アウスボイトゥングしてきたわけですが、
このごろは、
貧乏人から搾り取るものが無くなり、
アウスボイトゥングも叶わなくなってきたのか、
きれいごとばかり並べても、
どうも最早、
世は搾取でなく
排除に向かっている様子。
この度の震災と福島第一原発事故以後の日本においては
なおさら。
排除されても
生きていかなければいけない民は、
どうしたらいいんでしょうか。

・短日や日向追ひかけ丘の上  野衾