黄金の風

 

・いたましきゆえに我あり秋の風

ここまで来た
丘に上がつていた
少年は
新鮮な風に揺らぐ稲を 視


視飽きることをしらな

飯島耕一先生の
「田園に異神あり 西脇順三郎の詩」
を読む

そこにこうあつた
「この詩人は「黄金」という語を使うことのできる詩人である。」

たしかに
西脇順三郎の詩には「黄金」の語がよくでてくる
ギリシャ的叙情でもあるのか
しかし
ギリシャのまえに
新潟県北魚沼郡小千谷町があつたはず
西脇本人は
いや東京日本であるというかもしれぬが

紺碧の海から
遥かの地中海から
吹いてきたかもしれぬ
黄金の風は
静かに吹いて
いる

恋するひと

恋したきひと

かどの真一君の生垣に沿つて
もうそこまで来ていた
永遠
ていう名の
または
距離=ディスタンス
ことばは一人のためにある

・雨あがる山の上にも落葉かな  野衾