・鰯雲寂し黄色くなりにけり
いよいよ本格的な秋となり、
朝晩虫の声が耳を楽しませてくれます。
秋の句虫の句で好きなものといえば、
山口青邨の
「こほろぎのこの一徹の貌を見よ」
コオロギの顔はたしかに
「一徹」としか言いようがありません。
山口先生、
コオロギの顔をまともに見て、
つくづくそう思ったのでしょう。
一徹か。ほんとうに。
生まれたときから死ぬまで、
また死んでも、
形のあるうちは、
ずっとあの顔かと思うと、
なんだか可笑しい。
きのう道端にスズメバチが横たわっていました。
生きているうちは、
とてもまともに近づいては見れませんが、
死んでいるので、
どんだけ近づいても大丈夫。
そばに寄って
矯めつ眇めつ眺めていました。
なんとも格好がいい。
こんなふうにはいきません。
蜂は春の季語ですが、
まあいいことにして。
*
神奈川新聞に春風社創業十五周年についての記事が掲載されました。
書いてくれたのは「自転車記者」こと佐藤将人さん。
コチラです。
・スズメバチ死して兜の硬きかな 野衾