ぬらりひょん

 

・うちそとの黴を払ふやミズタタキ

こころ
わたしのこころ なのに
まるでわたしを しらぬ
ようなのだ

こころの
せかいに いて
わたしは かたみが
せまい

くもをみれば くもに
かべのすみのクモをみれば
かべのすみのクモに
わたしのこころは あるようなのだ

それだから
わたしには
いつのまにぬけだした のか
こころが ない

こころをなくしたわたしは
ぬらり ぬらり
なつのはまべでおじさんに
はぐれてしまった このように
ひとりぼっちだ

あっちこっち
ぶらさがったままの
わたしのこころ
かぜにふかれて とんでった

・ふるさとの味を待つ日の嬉しかり  野衾